活動レポート東北コットンプロジェクトの活動レポートです。

2014年荒浜収穫祭

2014.11.16

11月16日には、荒浜農場で収穫祭が行われました。何もないところに一緒に種をまき、栽培の苦労を見続けてきたメンバーにとって、荒浜は特別な思いのある場所です。今年もたくさんの参加者が集まりました。地元の小中学生やボランティアも例年どおり大勢参加し、にぎやかな1日となりました。
今年は荒浜の新会社「荒浜アグリパートナーズ」が本格的な大規模営農をスタートさせた年です。稲作は9.3ヘクタール、そのほかに大豆や野菜、それらの直売所の運営も始まりました。若いスタッフも増え、会社として忙しい日々を送っています。畑2枚とビニールハウス1棟でスタートした荒浜の綿花は、途中新たに借りることになった畑も加わり、当初より広い面積で栽培しました。社長の渡邉さんは「綿花をきっかけに会社を立ち上げることができた。みなさんの支援に応えるために大事にしていきます」と話します。夏の間、地域の小中学生、高校生や、全国から訪れるボランティアや大学生が草取りを手伝ってくれたそうで「本当に頭が下がります」と、渡邉さん。そのおかげで、前年に比べると木の成長はよく、畑一面に綿の木が育っている光景を見ることができました。

この日はまだ開いている綿は少なく、コットンボールを摘み取って、ハウス内で乾燥させることに。300人ほどの参加者が、それぞれの畑に分散してボールを集めました。綿はそれほど開いていないけれど、大雨で冠水したり、雑草に負けてしまったりして育たなかった年のことを思えば、綿木は確かに育っています。「昨年よりはいいですね」「最初に比べたら、前進していると思います」という声には、震災以降の荒浜の復興と重ね合わせて綿花の成長を見守っている思いが感じられました。
コットンボールをとったあとの木は抜いて集め、葉を落とします。これは他の農場同様「東北コットン紙」の原料とするため、粉砕してチップにします。「今年チップにする機械を買いました。どれくらいできるかわからないけど…」と、綿花担当・松木さん。また新たな挑戦ですね!

作業が終わると、荒浜のお母さんたちお手製の芋煮や、精米したてのお米で作ったみそおにぎりのおいしい昼食が待っていました。まさにこの地で作られた新米をいただき、3年半前に何もなかった土地にお米が実ったことに感慨もひとしおです。
その新米や、朝にとったばかりというパプリカの詰め放題など、東北コットン商品とともに販売していました。ボランティアで関わっているという鈴木さんは、買物してくれた人へのお礼として花の種や手作りのリースをたくさん用意してくれていましたが、リースは収穫した後のサツマイモのつるや、コットンが弾けた後のボール、稲穂やアカザという草など、ほぼ荒浜でとれたもので作ったとのことです。
また、昨年も好評だった糸紡ぎ体験を、また綿花ボランティアチームが企画してくれました。糸紡ぎ道具や飾り付けなども手際よく用意して、イベントのスムーズな進行にも一役買っていました。
たくさんの実りをこうしてかたちにしてくれる方々が、荒浜を支えてくれています。

子どもたちの元気な声があふれるのも、荒浜の収穫祭ではおなじみになりました。今年始めて参加した仙台市立南材木町小学校合唱部の子どもたちは、お父さんが荒浜のボランティアをした縁で収穫祭に参加したそうです。荒浜で被災した佐藤秀子さんから震災当時の様子を聞く語り部体験をし、収穫祭ではきれいな声で合唱を披露しました。3年前から交流を続けている南吉成中学校は、1、2年生2学年が参加、最初に来た3年生は受験のためお休みと聞き、時間の流れを感じます。合唱の他吹奏楽の演奏も、寒い中がんばってくれました。昨年やってきた仙台育英学園高校チアリーディング部I-LIONS、そのOGたちのチームZAQPSも元気いっぱいに演技、一気に華やかな場所になりました。子どもたちの笑顔は生産者にとっても元気のもと。たくさんの人が訪れ、笑顔を届けることで、荒浜は前に進んでいます。